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・えんまさまのおこごと

映姫「さて、今日貴方達が唐突に喚ばれた理由は分かりますね」
鈴仙「いえ、ちっとも」
文  「さっぱり身に覚えが」
咲夜「以下同文」
映姫「はぁ……どうやら貴方達は、今も自分が重ねている罪についてさっぱり気付いていないようですね」
鈴仙「今も、ですか?」
咲夜「お屋敷のお仕事をほったらかしにしていることなら、原因は貴方ですけれど」
文  「私は今も勤勉に仕事をしていますよ。身に覚えのない冤罪を着せられたらしき犬と兎に密着ドキュメンタリーを」
咲夜「誰が犬よ」
鈴仙「っていうか、貴方も当事者ですから」
映姫「違います」
文  「じゃあ、何だって言うんですか?」
映姫「そのスカートです、そのスカート! そんな短いスカートで下にドロワーズも穿かずに無造作に飛ぶものだから、地上にいる者たちが目のやり場に困ってドギマギするのですよ!
    そう、貴方達は恥じらいというものが無さすぎる」
咲夜「……(ぴらっ)」
映姫「ッ!? い、いきなり何をしてるんですか貴方は!」
咲夜「別に下着くらいどうとでも……いつも部下のメイドたちに洗わせてますし」
鈴仙「うんうん。一緒にお風呂とかも入るしね。今更パンツくらい」
映姫「貴方の周囲が気にしなくても、外の人達は気にするのですー!」
文  「ふーん、紅魔館のメイド長は白のレース……メモメモ」
咲夜「ああ、いっそみんな中身知ってれば気にならなくなるかもね」
映姫「そういう問題じゃありませーん! っていうか少しは恥ずかしいとか思いなさい!」
鈴仙「でもこの格好が涼しいし動きやすいし」
文  「うんうん」
映姫「問答無用ー! とにかく、空を飛ぶ時は下着を見せない格好になること! それが貴方達に出来る善行です!」
咲夜「(ここは大人しく従っておいた方が時間を無駄にせずに済みそうね……)はいはい」
鈴仙「分かりました」
文  「じゃあー、何か考えておきます」
映姫「よろしい」


霊1「いやー参ったよ。ブン屋の黒パンストに見とれてたらイノシシに轢かれちまってさ」
霊2「あー分かる。俺はウサギのミニスカートの中がブルマでさ、追いかけたら足踏み外して崖下ダイブ」
霊3「俺なんかメイド長が弾幕したから上見たら、妙にカラフルピッチリな布でさ、え? って思ったらなんと水着だったんだよ。
    なんで水陸両用になってるのか知らないけど見とれてたら流れ弾に当たってこの通り」
映姫「うわあーーん! あいつら全然分かってなーい!」
小町「最初から『丈を伸ばせ』って言えば良かったんですよ〜」

# これ書いた次の日に「そういえば映姫様もあんまりこいつらと変わらない丈なんだよな」ということに気付いたけれどまあいいや(笑)


・お題「背中を合わせて戦っている二人」


 彼女らが降り立った、そこは間違いなく戦場だった。
 十重二十重に囲まれ、数えきれぬほどの視線に貫かれて、しかし彼女らは、むしろ今その場に立っていることこそが至上の悦楽と言わんばかりに。
 姉は密やかに。
 妹は華やかに。
 笑う。

「行くよ」
 姉がその手に自分の得物を構え、
「いつでも」
 妹は唇を呪(しゅ)の形に曲げる。

 二人が合わせた背中は、まるで元々がひとつであったかのようにひたりと密着する。
 呼吸が伝わる。
 鼓動が伝わる。
 これから始まる戦いに、限界まで高ぶった心が伝わる。

 次の瞬間。
 二人の力が放たれる。一切の加減なく、それはその場の全ての者に向けて放たれる。
 世界を埋め尽くすほどにも強く大きな奔流に、彼女の周囲を包む者たちが、一斉に叫び声を上げた。





「今日のステージも、限界まで騒いでいくよ」
「みんなしっかりついてきてねーッ!!」
 彼女らの声に応え、観衆たちもまた、彼女らの放つ音に負けないほどの歓声を上げる。

 そう、そこは間違いなく戦場だった。


 「二人で目立っちゃってずるーい」とはリリカさんの談。

# ヒネてますね(w


・最重要事項


魔理沙「相変わらずアリスは分かってないな。弾幕はパワーだぜ」
アリス「何言ってるのよ、弾幕はブレイン。貴方こそいつまでそんなこと言ってるのかしら」

ルナサ「相変わらずね、あの二人は」
リリカ 「パワーとかブレインとか、そんなのどうでもいいじゃんね」
メルぽ「そうそう。なんで弾幕するのにそんな面倒なこと考えるのかしら?」

霊夢  「まあ私もそう思うけどね。
     ところで、音楽を奏でるのに一番重要なことって?」

メ「決まってるじゃない。音楽はハッピーよ! 人に聞かせて楽しませてこそだもの、当然じゃない!」
ル「それは違うわ、音楽はアンニョイ。本当に人の心を動かす音というのはね、沈んだ感情の底から響くものなの」
リ「何言ってんだか。音楽は幻想よ。失われた音の響きこそが一番人の心を揺らすんだってば」

魔「何言ってるか分かるか?」
ア「……ぜんぜん」
霊「なんで音楽するのにそんな面倒なこと考えるのかしらね」


・秘封弦楽

 意外な特技、だと思った。
 そんなことを考えたと彼女が知ったらそれはもうおかんむりだろうが、なまじ普段の彼女をよく知っているだけに、私は意外だと思ったのだ。

 彼女の名誉の為に補足しておくが、確かに彼女は昼だろうが夜だろうが陽気な顔で外を歩いているのが似合うのだが、だからといって彼女に文化的な雰囲気が無いというわけでは決してない。
 例えば図書館で開いた本に視線を落としていれば、たちまち読書にふける文学少女の出来上がりだ。たまに本を読んでいるかと思ったら寝ていることがあるけど。
 例えば暖かな午後の日差しを浴びながら静かにティーカップを傾けていれば、どこの名家の令嬢かと見紛う時もある。口を開いた瞬間に台無しだけど。
 だが、楽器を弾くというイメージはまるで無かったし、弾くとしてもトランペットとかサックスとか、そんなキラキラしてる楽器だろうかとしか考えられなかった。
 今、彼女の手の中には、飴色に輝くバイオリン。
 意外な特技だと心底思った。

 彼女もさっきまで、そんな顔で私を見ていた。
 私がチェロを弾くのがそんなに意外なのだろうか。失礼だわ。

 けれども、人間の頭というのは案外適当なもので。
 実際に弦を震わせている姿を見ていると、だんだんそれが当たり前の光景のように、彼女がバイオリンを弾けるのが当たり前のことのように思えてくる。
 そんな勝手な心境の変化がおかしくて、微笑を浮かべながら彼女を見ると、彼女も楽しそうに笑いながらこちらを見ていた。

「結構上手じゃない、メリー」
「あなたもね、蓮子」

# 「バイオリンとチェロで協奏曲を演奏していそうな二人」というテーマで。なかなか似合うと思うんですよ、この二人。
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